「死戦期呼吸」という言葉を聞いたことありますか?
AEDが必要な状態に陥ると、「死戦期呼吸」というしゃくりあげるような不規則な呼吸の状態がみられることもあります。
本来であれば、死戦期呼吸は心停止として判断をし、直ちに胸骨圧迫やAEDを用いた心肺蘇生が必要となりますが、死線期呼吸を知らない人では、その状態を見て呼吸があると考え、胸骨圧迫が遅れてしまいます。
万が一のために、是非この死戦期呼吸について理解を深めていただき、もしものために備えましょう。
死戦期呼吸はこんな呼吸
死戦期呼吸とは、下顎呼吸やあえぎ呼吸といった、いわゆる普通の状態ではない呼吸が含まれ呼ばれています。
死戦期呼吸に陥ると、口は下顎だけでパクパクと開いたり閉じたり、口をわずかに開いたまま「ハッ・・・ハッ・・・ハッ」という、あえぐようにみえたり、しゃくりあげるような呼吸になります。
一見呼吸をしているように見えますが、実際に呼吸はできていない状態、つまり呼吸をしていない状態と同じで、ただちに胸骨圧迫を開始する必要があります。
「少し様子が変であるが、息はしているように見えるから大丈夫だろう」と、救急隊到着までAEDによる処置がされなかったり、胸骨圧迫が遅れてしまうような事があってはいけません。
死戦期呼吸の特徴を動画で見る
死戦期呼吸の状態をしゃくりあげるような呼吸や、あぐあぐとした呼吸だと文章で説明してもイメージしづらいと思いますので、動画で見てみましょう。
実際にどのような呼吸であるのか、次の動画の2:30あたりからご覧ください。
※この動画はその後AEDと心肺蘇生によって意識を取り戻します(4:30前後)。
動画で見ての通り、一見すると弱々しくですが、顎が動いて不規則に呼吸をしているようにも見えます。これこそが死戦期呼吸です。
呼吸が普通の状態ではない事はわかると思います。
意識がなく、このように普通ではない呼吸の状態であった時には、すぐに胸骨圧迫を開始しましょう。
判断に迷ったら胸骨圧迫をすべき
死戦期呼吸の事は知っていても、果たして実際の現場で冷静に判断できるだろうか…
迷ってしまった場合はどうすればよいのか?
その場に居合わせた事を考えると不安になりますよね。
実際に現在のJRC蘇生ガイドライン2015では、
『傷病者に反応がなく、呼吸がないか異常な呼吸(死戦期呼吸)が認められる場合、あるいはその判断に自信が持てない場合は心停止、すなわち CPR の適応と判断し、ただちに胸骨圧迫を開始する。』
と明記されています。
この通り、異常な呼吸であれば胸骨圧迫を行いますが、もしも異常な呼吸であるのか迷った場合でも胸骨圧迫を行う必要があります。
自信を持って「呼吸は正常だ」と言い切れない場合には、すぐに胸骨圧迫を行いましょう。
もしも呼吸がある人に胸骨圧迫をしてしまった場合はどうなるの?
一般市民での正確な判断は難しく、当然呼吸がある傷病者に対して不必要な胸骨圧迫を行ってしまう可能性もゼロとは言えません。
しかし、心停止でなかった傷病者に対する心肺蘇生は救急隊到着までの短時間に限定されるため、傷病者に重大な障害が発生する可能性は低いと言われています。
むしろ不必要な人へ胸骨圧迫を行う不利益は、本当に胸骨圧迫が必要な人に対してそれが行われない不利益よりもはるかに少ないです。
心停止の傷病者に対して、胸骨圧迫を行わないメリットは何もありません。
繰り返しになりますが、迷った場合には胸骨圧迫です。
死戦期呼吸は心肺蘇生を始める、まだ救える可能性のあるサイン
死戦期呼吸は、心停止の直前・直後に見られます。心肺蘇生を開始する非常に重要なサインであるとともに、まだ救命の可能性が非常に高い状態とも言えます。
すぐに胸骨圧迫を行うのか、そのまま何もしないのか、その場の判断が命の行方を大きく左右するといっても過言ではありません。
まとめ
死戦期呼吸については、AEDについて調べたり、講習を受けて初めて知った方も多いのではないでしょうか。
死戦期呼吸はとても重要で、是非多くの方に知っていただきたい事ですが、まずはガイドラインの通り、『迷ったら胸骨圧迫をする』という判断がもっと広く浸透する事を願います。
そのためにも一人でも多くの人にAED講習会へ一度参加して頂けると嬉しいです。
AED講習会については、次の記事で詳しくまとめております。
是非ご覧下さい。
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死戦期呼吸の他にも、AEDが必要な場面で判断に迷うことや様々な事例などについても各記事で取り上げております。万が一のためにも是非一度確認をしておきましょう。
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