AEDは動きが止まってしまった心臓に電気ショックをする医療機器である事は知っているけれど、実際にどんな症状であれば電気ショックが適応になるのか知っていますか?
AEDが必要な場面ではよく「1分、一秒を争う」と言われていますが、実際にどうしてそんなに時間が大事であるのかを聞かれると、理由を説明するのは難しいですよね?
AEDが必要になる症状として代表的な不整脈は2つあり、実際にそういった不整脈になる原因は様々です。
こちらの記事ではどのような不整脈の時にAEDの電気ショックが必要となるのか?また不整脈の原因にはどのような事があるのかを詳しく解説致します。
AEDは止まった心臓を何でも治せるわけではない!
AEDは「止まった心臓に電気ショックを行い、再び動き出すようにするための医療機器」というイメージを多くの方が持たれていますが、実は少し違います。
AEDは痙攣するような、正常ではない心臓に電気ショックを行い、元の状態に戻す働きがあります。つまり、厳密に言うと止まった心臓を動かすためのものではなく、異常な状態である心臓を元に戻すものなのです。
しかし、異常な状態であれば何でも元に戻せるような万能な機器ではありません。
AEDの電気ショックで治せる状態と、そうでない場合があります。
まだ心臓は動いてる状態でも「心停止」という
「心停止」と聞くと、心臓が止まってしまっているように思えますが、実際は少し違います。
心停止とは、心臓の動きが止まった状態をさす言葉ではなく、厳密には「血液を送るポンプとしての機能が損なわれている状態」の事を意味します。そのため心臓に何らかの動きはあっても、血液を送る機能が損なわれていれば「心停止」という状態です。
AEDは心停止の状態となった心臓の心電図を解析して、その結果電気ショックで治せる不整脈であった場合には電気ショックを行います。
AEDの電気ショックが必要な不整脈の代表例は2つ!心室細動と心室頻脈
心室細動
心臓は「ドックン、ドックン」と一定のリズムで収縮して、血液を全身に送るポンプの役割をしています。
しかし「心室細動」という状態に陥ると、突然心臓がリズミカルに拍動しなくなり、細かく痙攣をするような状態になります。心電図では不規則な波形がみられ、この状態では心臓はポンプとしての機能を果たすことができません。
この心室細動になってしまった場合は、唯一の効果的な治療法がAEDなどで心臓に電気ショックを与えて、正常な心臓のリズムに戻すことといわれています。また残念ながら心室細動は自然に回復することはほとんどありません。
心室頻脈
心室頻脈も心室細動同様に致死性の不整脈の一種です。心臓は体の中を巡ってきた血液を受け取る「心房」と、血液を送り出す「心室」があります。この心室が非常に早いリズムで心臓を収縮させ、一分間に100回以上の拍動を3連続以上繰り返す場合を心室頻拍と呼びます。
この発作がおこると、心臓はポンプとしての機能を十分に果たせなくなり危険な状態です。AEDが心電図を解析し、心室頻脈であると判断した場合にも電気ショックが行われます。
AEDでは元にもどせない心停止がある
心停止の中には、AEDの電気ショックだけではもとに戻せない状態もあります。
心静止
心静止とは、医療ドラマなどで見たことがある人も多い、心電図が「ピーッ」と横一本線になってしまう状態です。
AEDの電気ショックが有効な心室細動は、心臓が痙攣しポンプの機能を果たすことができていませんが、まだ心臓そのものは動いている状態です。心静止ではそのような痙攣もなくなってしまった、心停止ではもっとも深刻な状態です。
その状態ではAEDで電気ショックを行っても元の状態へ戻すことはできず、AEDで心電図を解析しても「電気ショックは不要です」とガイダンスが流れます。
このほかに電気ショックが適応されないケースとして「無脈性電気活動」という状態などもあります。
心室細動や心室頻脈になる原因や疾患とは?
心臓に栄養や酸素を送る為にとても重要な「冠動脈」と呼ばれる血管があります。
何かしら原因によってこの冠動脈がつまり、血液が流れなくなってしまう病気が心筋梗塞です。
この心筋梗塞で心室細動など致死性不整脈が発生し、突然心停止を引き起こす可能性があり、急性心筋梗塞は心臓突然死の主な原因と言われています。
その他、肥大型心筋症や拡張型心筋症などは、ポンプとしての機能低下から、時に心室細動を起こす可能性があります。
また、特徴をもった心電図をもつブルガーダ症候群なども、突発的に心室細動を起こす可能性が高いと言われています。
また、胸部に衝撃が加わったことにより心臓が停止してしまう心臓震盪なども、主に胸郭が発達していない子供の突然死の原因のひとつといわれています。
心停止の心臓は時間との勝負!AEDだけでなく胸骨圧迫も!
心停止となり血液が送り出されない状態に陥ると、時間の経過とともに1分間におよそ7~10%ずつ蘇生のチャンスは失われていきます。そのため心停止の場合には1分1秒を争う時間との勝負になります。
もしも近くにAEDがない場合や、AEDが適応されない心静止だった場合でもできることはあります。それは胸骨圧迫です。
救急隊が到着するまでに何もしない場合と、胸骨圧迫だけでも実施をした場合の社会復帰率は2.6倍も差があるのです。※総務省消防庁 平成30年版 救急救助の現状より
胸骨圧迫する場所は胸骨の下半分、深さは胸が約5cm 沈むように強く圧迫し、1 分間あたり100~120 回のテンポで可能な限り中断せずに、絶え間なく行います。
まとめ
AEDはどんな症状でも治すことのできる万能な医療機器ではなく、不整脈により異常な状態となっている心臓を元に戻す機器です。一般的によく言われる「心停止」はAEDの電気ショックで元に戻すことができる「心室細動」という不整脈の状態であることが多いです。
心室細動の状態では1分経過する事に、救命率が約10%下がるため、一分一秒を争う時間との勝負です。もしもの時は迅速な行動がとれるように、是非AED講習会などにも参加する事をおすすめ致します。
AED講習会については、下記の記事で詳しく解説しておりますので是非ご覧ください。
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