「ASUKAモデル」という言葉を聞いたことはありますか?
ASUKAモデルは実際に起こった悲しい事故をきっかけに作られた、教員研修等のための体育活動時等における事故対応テキストです。
人が倒れている時に、本当に意識がないのか?呼吸をしていないのか?といった事を正しく判断する事は難しいですよね?
そんな多くの人が知っておくべき事がASUKAモデルにはあります。
こちらの記事ではASUKAモデルについて詳しく解説致します。
※この記事は主にさいたま市ASUKAモデルホームページを参考に記載しております。
明日香さんの事故から学ばせていただく、二度とこのような事故を繰り返さないという想いを込めて『ASUKAモデル』
平成23年9月29日に、さいたま市立小学校6年生の桐田明日香さんが、駅伝の課外練習中に倒れ救急搬送された後、翌30日に死亡するという大変悲しい事故が起きました。
ASUKAモデルはこの事故を教訓とした、教員研修等のための体育活動時等における事故対応テキストの愛称です。
ASUKAモデルの内容とは
ASUKAモデルは、体育活動時等における重大事故を未然に防ぐための取組や、重大事故発生時・発生後の対応について具体的に示されており、以下がテキストの内容になります。
(1)日常における重大事故の未然防止
(2)体育活動時等における重大事故の未然防止
(3)重大事故発生時における対応
(4)事故発生後の対応
明日香さんの事故の教訓を活かして作られたASUKAモデル。
このテキストで強調されているポイントは、意識や呼吸の確認など、心停止であるのか「判断ができなかったり、迷ったら、胸骨圧迫とAEDの使用に進む」ということです。
心停止ではない人に、胸骨圧迫やAEDを使用してしまった場合はどうなるのか
わからなければ胸骨圧迫とAEDの使用をするのであれば、当然心停止でなかった場合でも、胸骨圧迫やAEDを使用する事があるかもしれませんが安心して下さい。
まずAEDについては、AEDが自動的に心電図を解析し、本当に電気ショックが必要である状態であるのかを判断します。仮に心臓が動いている人に対してAEDを使用した場合は、「電気ショックは必要ありません」とガイダンスが流れ、電気ショックを行いたくてもできないようなしくみになっています。
間違えて電気ショックをしてしまい、逆に心臓を止めてしまうような事がないか…といった不安は一切不要です。
胸骨圧迫についても、仮に不要である傷病者に対して行った場合に大きな問題はおこりません。むしろ必要であるのに何もしない事の方が大問題です。
もしも意識がある人に対して胸骨圧迫をすると、顔を歪めるなど何かしらの反応があると言われています。もしも反応があるようであれば、経過観察を行いながら救急隊の到着を待ちましょう。
近くにあるのに使われなかったAED…明日香さんが倒れた事故とは
明日香さんが倒れた当初、現場で指導していた教員等が「脈がある」「呼吸がある」ととらえたことから、心肺蘇生及びAEDの装着が実施されませんでした。
特に呼吸があると判断されたのは「死戦期呼吸」と呼ばれる、心停止した傷病者で見られる、しゃくりあげるような呼吸があったと言われています。
死戦期呼吸については次の記事で詳しく解説をしておりますので、合わせてご覧ください。
死戦期呼吸は命の危機を知らせる合図!判断に迷ったら直ちに胸骨圧迫を
呼吸や意識がない場合、そのまま何もしなければ、1分経過するごとに、救命率は約10%下がると言われています。
約11分後の救急隊到着時に、明日香さんは心肺停止状態になっていたという事で、救急隊到着までの11分間が大変悔やまれます。
ASUKAモデルについては、次の動画を見ていただけるとさらに詳細がわかります。
6分程で見られます。是非一人でも多くの人に見て頂きたい動画です。
ASUKAモデルは小学校の教科書でも紹介されています
現在ASUKAモデルは小学校の教科書でも取り上げられております。
今学んでいる子供たちが大人になる頃、全員が『ASUKAモデルは当然知っているよ』となり、そして次はASUKAモデルを学び大人になった自分達がASUKAモデルで子供の命と安全を守る…そんな素敵な世の中になると嬉しいですね。
ASUKAモデルDVDの貸し出しもあります。
さいたま市教育委員会では、ASUKAモデル研修用のDVDを作成し、その貸し出しも行っております。
また、動画はYouTubeでも閲覧が可能です。是非多くの方に活用して頂きたいと思います。
まとめ
総務省消防庁の報告では、平成 29 年中に一般市民が心停止を目撃した傷病者の数は2万5,538 人。そのうちAEDが使用されたケースは1260人と、年々増えてはいるものの、全体としては4.9%とまだまだ少ないのが現状です。
その原因はAEDがその場になかっただけでなく、必要かどうかわからなかったから使われなかったケースもあったのではないでしょうか。
AEDを使って、間違えて電気ショックをしてしまう事はありません。是非積極的なAEDの活用を心がけましょう。
万が一に備えて、全国で行われているAED講習会にも是非参加してみて下さい。
講習会についての詳しい事は次の記事で紹介しておりますので、合わせてご覧ください。
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