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AEDに設置義務はあるの?広い場所には何台必要?AEDの設置基準を徹底解説!

AEDの基礎

AEDに設置義務はあるのか?どのような基準でAEDの設置を判断すればよいのか?

という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

結論から言えば、AEDには法律により統一化された設置義務はありません。しかし横浜市など、一定基準以上の施設には条例によりAEDの設置を義務付けている自治体もありますので注意しましょう。

AEDを置く基準は2つあり、距離(半径100mに1台)と時間(3分以内の電気ショック)です。

こちらの記事ではAEDの設置基準について、実際の事例も合わせて詳しく解説致します!

目次

AEDとは?

AEDとは英語の略称で、正式名称『Automated External Defibrillator』の頭文字をとったものです。日本語では「自動体外式除細動器」と言います。

何らかの原因で心臓が痙攣し、血液を流すポンプ機能が失われた状態(心室細動)になると、人はすぐに意識を失い倒れてしまいます。

心室細動で倒れた場合、時間が1分経過するごとに救命率が7~10%低下すると言われています。
その心室細動を正常な状態に戻す唯一の方法が、AEDによる電気ショックです。


AEDは心電図の測定・解析を行ない、必要に応じて電気ショックを与え、心臓の動きを正常なリズムに戻すための医療機器です。

医療機器として、病院等では専門知識のある医療従事者が以前から使用をしていた物ですが、2004年7月に厚生労働省から非医療従事者であってもAEDを使用できることが明示されました。

AEDは心電図の測定・解析を自動で行い、電気ショックが必要かどうかを判断します。AEDの使用法や心肺蘇生に必要なその他の手順も音声等でガイダンスが流れるため、専門的な知識がなくとも誰でも使うことができます。

AEDの設置基準を解説!義務となる条件は?

■横浜市等を除き、AEDに設置義務はない。

例えば消火器は消防関係法令により設置義務があります。
しかしAEDには法律により統一化された設置義務や基準などはありません。

ただし一部例外もあります。例えば横浜市では「横浜市救急条例」が施行されており、一定基準の対象となる施設には、条例によりAEDの設置が義務付けされています。

横浜市救急条例で定めるAED設置義務化の施設は下記の通りです。

劇場、公会堂、飲食店、百貨店、ホテル、病院等の不特定多数の者が出入りする防火対象物で、階数が11階以上、かつ、延べ面積10,000平方メートル以上など大規模な防火対象物

横浜市ではAEDの設置が義務化されておりますが、義務化されていないほかの地域でも、このような施設の多くはすでにAEDが設置されていますね。

横浜市以外の自治体でも、千葉県や茨城県などにもAEDの設置に関する条例があります。しかしどこもAED設置の努力義務、もしくは県の施設や公共施設での設置を義務としており、調べる限りでは、民間施設で設置義務があるのは横浜市だけとなっているようです。


■AEDは半径100mに1台必要!設置基準は3分以内の電気ショック!

AEDは設置しているが、広い施設のどこにおけば良いのか?台数は1台で足りるのか?AEDの設置基準について説明致します。

AEDとは?で述べたとおり、AEDが必要な状態になると、時間が1分経過するごとに救命率が7~10%低下します。
そのためいかに早くAEDの電気ショックを行う事ができるのかが重要で、救命率を上げるためには不可欠なポイントです。

では早くというのは、実際にどれくらいなのか?
救命率は1分で7~10%低下しますが、4分以内で脳に障害が発生し、蘇生に成功し社会復帰を果たしても障害が残る可能性があります。
119番通報をして救急隊の現場到着時間が平均7分であるため、3分以内にAEDにより電気ショックを行える環境を作る事が重要です。

AEDの操作時間を1分とすると、倒れた場所から2分以内に取りにいける範囲に設置する事が理想です。
例えばビルに設置する場合、最低でも3フロアに1台、もしくは5フロアに1台がイメージです。

工場など広い施設の場合では半径100mの範囲内に1台設置、もしくは建屋毎に設置をする事が、2分以内にAEDを取りにいける目安となります。

倒れてから2分以内にAEDを取りに行けて、3分で電気ショックを行うと救命率は約70%です。

aed
installation

AEDの設置が必要な5つの業種・施設

小中学校や役場などの公共施設、その他不特定多数の人が行き来をする大型施設等以外でAEDの設置が必要になる業種・施設を、実際の事例を参考にご紹介致します。

①高齢者施設

高齢者施設はAEDの使用頻度が高く、設置してない施設の方が少ないかと思います。
普段の生活でAEDを使用する場面に遭遇する事は少ないかと思いますが、高齢者施設はAEDを使用する場面が特に多い場所のひとつです。

②スポーツ施設(プール、ジム、フィットネス)

AEDの使用事例として多いのが、運動中に意識を失い倒れたというケースです。
心室細動は様々な要因で発生しますが、やはり運動中は心臓にも負担がかかるため心室細動により倒れるケースが少なくありません。特にマラソン大会では実際にAEDを使用したという事例がいくつもあります。

③危険作業を伴う工場、事業所
工場や事業所の中でも、特に危険作業を伴うような業種ではAEDの使用事例を聞く事が多いです。

④セキュリティの厳しいオフィスビル
3フロアに1台AEDが設置されているので大丈夫、、、と思っていたところ、セキュリティが厳しく、実はオフィスのフロアを2分で行き来することが難しかったという事例もありました。
そのようなビルには各フロア毎にAEDの設置が必要です。

⑤救急車の到着が遅くなる想定される施設
立地の条件でAEDの到着がどうしても10分、15分必要になる場所がどうしてもあります。心室細動で倒れた場合には時間との勝負です。救急車の到着を待っている時間はありませんので、AEDが必要です。

実は知られていないAED設置の必要性

AEDを設置する施設は、施設の職員、利用者、滞在者の万が一に備えることが目的だと思いますが、
実は設置をしている施設の周辺でAEDが必要になる状況となり、AEDを借りるために設置施設に駆け込んだという事例も少なくありません。

例えば保育園、幼稚園の多くはAEDが設置されていますが、まだまだ未設置の園もいくつかあります。実際に外部からAEDを貸して欲しいと言われた時に設置していなかったため、その経験からAEDの購入を決めたといった事例があります。

企業では、AEDを取りに来ても部外者は簡単に入れないようになっているため困るといった事から、入口の守衛室にAEDを増設したという事例もあります。

AEDを設置している施設が増えれば増えるほど、地域コミュニティの安心安全が確保され、どこでAEDが必要になったとしても、救命できる可能性が広がります。

当然救命使用したAEDは消耗品の交換が必要になりますが、
救命使用時の交換費用については無償で交換をしてもらえるAEDもあります。
救命使用時の消耗品を無償で交換できるおすすめのAEDはこちら

まとめ

AEDの設置義務はありませんが、高齢者施設やスポーツ施設は当然として、
民間企業のオフィスにも、会社の規模を問わずに導入が進んでいます。

せっかく導入をしたAED、もしもの時にそれが有効に活用されるためには、きちんとした場所に設置をする必要があります。

今あるAEDは2分で持ってこられる場所にありますでしょうか?
今回説明した設置基準を参考にして、是非チェックをしてみて下さい!

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