AEDや救命についてのWEBマガジン

AED導入の必要性・メリットや適切な設置場所、導入後の管理・運用方法について

AEDの基礎

AEDの導入について考えるとき、そもそもAEDは本当に必要なものなのか?、どんな施設であればAEDを置くべきであるのか?などと深く考え込んでしまう事ありませんか?

また導入したAEDはどこに設置をすればいいのか?管理や日常点検は何をすればよいのか?AEDの講習会は受ける必要があるのか?など、気になる事は沢山ありますよね?

こちらの記事ではAEDの導入を検討中の方に向けた情報や、すでにAEDを導入済みの方への運用・管理についての情報をまとめております。

目次

AEDの必要性。迅速な対応が人命を救う

AEDが必要な状況は時間との勝負!

AEDは心室細動(不整脈の一種)により、心停止に陥ってしまった心臓を、もとの正常な状態に戻すために用いられる医療機器です。


心室細動の状態とは、心臓が血液のポンプの役割を果たせていなく、全身に血液が送れない=酸素が運ばれない、という状況です。


この状態は1分経過する事に、救命率が約10%低下するとされており、救急車の到着を待っていては到底間に合いません。そのため、近くに居合わせた人が胸骨圧迫やAEDによる電気ショックを1分、1秒でも早くおこなう事が大変重要です。


そのためには、できるだけ身近な場所にAEDが設置されていなければなりません。


このような施設・場所にAED設置が求められている

日本救急医療財団による「AEDの適正配置に関するガイドライン」には、AED の設置が推奨される施設の具体例として、下記の通り上がっております。


1. 駅・空港・長距離バスターミナル・高速道度サービスエリア・道の駅

2. 旅客機、長距離列車・長距離旅客船等の長距離輸送機関

3. スポーツジムおよびスポーツ関連施設

4. デパート・スーパーマーケット・飲食店などを含む大規模な商業施設

5. 多数集客施設

6. 市役所、公民館、市民会館等の比較的規模の大きな公共施設

7. 交番、消防署等の人口密集地域にある公共施設

8. 高齢者のための介護・福祉施設

9. 学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校等)

10. 会社、工場、作業場

11. 遊興施設

12. 大規模なホテル・ コンベンションセンター

13. その他

13-1 一次救命処置の効果的実施が求められるサービス

13-2 島しょ部および山間部などの遠隔地・過疎地、山岳地域など、救急隊や医療の提供までに時聞を要する場所


傾向としては、心停止(中でも電気ショックの適応である心室細動)の発生頻度が高い(人が多い、ハイリスクな人が多い)場所や、心停止のリスクがあるイベントが行われる(スポ―ツ施設)場所になりますが、心停止の 7 割以上は住宅で発生する(※1)ことを踏まえると、マンションなどにも当然必要であると言えるでしょう。


どんな場所でもAEDが設置されるに越したことはありません。


※1日本救急医療財団「AEDの適正配置に関するガイドライン」より


マンションへのAED設置については、こちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

マンションにAEDは必要?費用はいくら?マンションAEDの管理方法や費用を抑えるポイント・おすすめ機種を紹介!


適切なAEDの設置場所とは

AEDが必要な状況では1分1秒を争います。
わかりにくい場所にAEDが置かれていて、処置が遅れてしまうような事は避けなければなりません。

普段から多くの人の目に触れる場所、例えばオフィスビルであれば、エントランスや受付、エレベーター・階段の付近、社員食堂などが良いでしょう。

AEDは鍵を掛けず、誰でもすぐに持ち出せるような状態にしておくようご注意ください。

また、看板やステッカー使用して設置場所をわかりやすく示したり、遠くからでも目立つ収納ボックスなどに入れておく事もおすすめです。

また、広い敷地に対してAEDの設置数が少ない場合も対応が遅れる原因になります。

どこにいてもAEDを1分以内に用意できるような場所へ設置する事が理想です。
目安としては、オフィスビルであれば3フロアに1台、工場など広い施設の場合では半径100mの範囲内に1台になります。

AEDの設置基準についてはこちらの記事でもくわしく解説をしておりますので、合わせてご覧ください。

AEDcase
遠くから見ても目立つわかりやすい収納ボックスに入れある事例

AEDの導入方法は3つある

支払い総額の費用初期費用メンテナンス短期利用
買取要確認
リース×
レンタル

AEDの導入方法は3つあり、一括で支払い購入する方法と、リースやレンタルにて、月額で費用を支払う方法があります。

総支払額としては買取が一番お得ですが、当然何十万とかかる費用を一括で用意して頂く必要があります。

その点、リースやレンタルは初期費用が安価であったり、一部では不要なところもありますが、リース契約期間の支払い総額でみると、買取した時よりも高くなります。

AEDを使用している間の消耗品は、レンタルやリースであれば基本的に月額費用の中に含まれていることが多いですが、買取の場合でも「安心パック」などのサービスは、AEDを買取で導入してもリースやレンタルと同様に、消耗品の期限管理や費用が含まれています。

AEDの価格はそういったランニングコスト等も含めたトータル費用で比較する事がおすすめです。

AEDの購入については、次の記事でも詳しく解説をしていますので、合わせてご覧ください。
AEDを購入する前に知っておきたい!購入前の必要情報まとめ

AED導入後の管理・運用について

AEDには日常点検が欠かせない

正常な状態では緑ランプ’(左)、異常がある場合は、赤ランプ(右)が点灯
※日本ストライカー サマリタンの場合

AEDには自動的にセルフチェックを行う機能が備わっており、異常があればランプなどで知らせる仕組みになっています。毎日、もくしは最低でも1週間に一度は、セルフチェックの結果を示すランプやインジゲーターの表示を確認しましょう。

また、パッドやバッテリーなどの消耗品も定期的に交換をする必要があります。
機種により異なりますが、一般的なパッドは約2年、バッテリーは3年~5年程の有効期限です。

レンタル・リースの場合は業者が管理している事もありますが、基本的にはユーザーでもきちんと管理することが求められています。
※参照 日頃からAEDを点検しましょう!(厚生労働省)

AEDの訓練について

AEDは電源を入れると使い方の音声ガイダンスが流れるため、初めて使う人でも落ち着いていれば必ず使用する事ができます。


しかし一分一秒を争う救命の場面においては、どれだけ迅速に行動できるのかが重要なポイントです。


そのためには一度聞いても忘れてしまう事が多いため、定期的に訓練を行うことが望ましいと言えます。


AEDの講習を全国で受けられるのは、消防や日本赤十字社などですが、その他にも様々な講習指導団体があります。


AED講習会の情報については、次の記事で詳しくまとめておりますので、合わせてご覧ください。


AED講習会28団体をすべて網羅!地域・レベル別に内容や申込を解説。無料講習も【最新版】


AEDの導入事例

AEDのメーカーホームページで実際に紹介されているAED導入事例やインタビュー記事を参考に紹介致します。
日本ストライカーホームページ参照

AEDを導入した施設は、パーソナルトレーニングジム「24/7ワークアウト」様。
「AEDの適正配置に関するガイドライン」でも設置が推奨されている具体例として上がっている、スポーツジムに該当する施設です。

インタビューによると、「小規模な店舗やビルの入り口など、ビル全体の共用スペースにAEDが置いてある店舗には必要ないのでは?」という意見もある中で、「心停止した場合、AEDによる電気ショックまでの時間が1分1秒でも短いほど救命率は高い」といった背景や、ビルの入り口などに設置してあるAEDでは取りにいくまでの時間がかかりすぎるといったリスクもしっかりと把握をされた結果から、すべての利用者が安心できるサービスを受けられるために、現在全店舗へAEDが導入がされております。

まさに、AEDが必要な場面では時間との勝負であることや、AEDの必要性を理解された理想的なAEDの導入であると言えます。

さらにAEDの設置場所は、店舗入り口のカウンターなど、多くの人が目に触れて、なおかつ誰でもすぐにすぐに持ち出せるような状態となっており、設置する場所も非常に適切です。

AEDの整備には非常にコストもかかります。一般的なスポーツジムでは、日々使われるトレーニングマシンにより多くの費用をかけたいと思うことが普通ではないでしょうか。

その結果「必要性がわかっていても、導入まで進んでいない」ような施設もあるなかで、AEDを利用者のためにここまできちんと考えられて導入されているのであれば、メインであるパーソナルトレーニングのレベルも非常に期待できそうですね。

さらにこの「24/7ワークアウト」様は、店舗の近くでAEDが必要になったときに備え、AEDマップで店舗に設置していることを公表されており、万が一の時はAEDを貸し出すこと事も想定をされているようです。地域コミュニティの安心のためとのことで、是非多くの方の参考になってもらえればと感じる事例です。

AEDマップの画面情報。 画像は24/7 Workout 池袋店のAED

まとめ

AEDの導入を考えている施設が、仮にAED の設置が推奨される施設に該当していないとしても、そこにAEDが必要ではないというわけではありません。
どんな場所でもAEDが設置されるに越したことはありませんので、AEDの普及のために是非前向きな検討をお願い致します。

AEDの情報はAEDマップなどで公表をする事で、設置した施設だけではなく、その地域の安心安全への貢献に繋げることもできます。AEDが必要な場面では時間との勝負です。1台でも多くAEDが増えることで、救命の確率は上がります。

AEDマップについての詳しい解説は次の記事で詳しく解説しておりますので、AEDマップに興味のある方は参考にしてみて下さい。

AEDはどこにあるの?緊急時に役立つ設置場所・マップまとめ

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